AIと作った教材3点セット ―― 天気予報アプリ制作記

学生向けのTkinter教材として、Claudeと天気予報アプリを制作した。市町村名を入れると2時間毎の気温・降水確率・天気・風速・湿度を日本語表示するもので、Open-Meteo APIを使い、WMO天気コードを日本語化。学習用にコメント多め、3ファイル(GUI/API通信/変換表)に役割分割した構成だ。

制作の山場は「降水確率null事件」だった。精度向上のため気象庁モデル指定を検討したところ、AIは「降水確率が取得できないので既定モデルのままにした」と説明してきた。筋は通っているが、天気予報で降水確率が無いなどありえない。違和感から調査を指示すると、原因はOpen-Meteoの降水確率がアンサンブル予報由来で気象庁モデルには存在しないためと判明。複数モデル同時指定で気温は気象庁から、降水確率は混合モデルから取るハイブリッド方式に改善できた。さらに気象庁の実際の予報画面と突き合わせると、最高気温や降水確率に乖離があり、その理由(地点補正、確率の定義の違い)まで掘れた。AIの説明を鵜呑みにせず、ドメイン知識で差し戻す――ここで教材の質が一段上がった。

続けて解説PDF『プログラムの「作り方」入門』を共同制作。作る順番(不安な所から/GUIとモックで見える所から、の2方式)、切り分けの判断、インターフェース=約束の考え方、デバッグの初歩、AIとの距離感3段階(任せる/併走する/自力)を、全部このアプリの実例で説く12ページになった。私の「モック駆動で作るタイプ」という流儀の持ち込みが2章を2方式構成に拡張させ、スパイラル・ウォーターフォール・アジャイルへつなぐコラムも生まれた。

最後に、制作過程そのものを教材化した『教材ができるまで』を追加。チャットログの読みどころ地図(差し戻しの場面、私自身の指示の失敗例も含む)と、その裏の教育論――生産的失敗、メタ認知的怠惰の研究、「経験の所有権は予測が作る」という仮説――をまとめた。サンプルは世に溢れているが、疑い・差し戻し・検証の過程が残った一次資料は珍しいはずだ。

結論。AIがあれば知識不要、の逆だった。動く物は誰でも手に入る時代、差が付くのは差し戻せるか・検証できるかで、それは知識と経験からしか生まれない。そしてAIがあるからこそ、知識1つ・違和感1回が成果物を即座に跳ね上げる。学びの1単位あたりのリターンは、歴史上いちばん大きくなっている。

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